サーバー犯罪者もテレワークしている

コロナ危機によって日々の業務は大きく変わり、それに伴い企業の多くの部門が大幅な変化に直面するなか、犯罪統計にも顕著な影響が出ています。オーストリアの連邦内務省のデータによると、最初の外出制限が開始された時点で犯罪率はすでに約60%低下していたそうです。

しかし、特に詐欺を働く犯罪者は非常に柔軟で、巧妙であることが通例です。彼らは既知の手口やパターンを、すぐさま現状や話題に適応させることに長けています。警察は、今後の数週間でサイバー犯罪の件数増加が最も大きくなると見ています。現在の状況は攻撃者にとって恐怖と不安を抱える多くの人々を術中にはめる、理想的な条件と言えるでしょう。

新たな装いをした古い戦術

実績のある攻撃はコロナを利用し、短期間で費用効率よく姿かたちを変えます。最近では、コロナに関する最新情報を謳った悪意のあるソフトウェアや、トレードや物流、銀行、さらには行政機関からのメッセージを装った詐欺メールが横行しています。

対策が不十分なままホームオフィスやホームスクーリングに変更したといったケースも、新たな危険を生み出します。例えば、スパムフィルターやバックアップといった重要な対策はIT部が慣れたオフィス環境で本来は行うものですが、プライベートの環境においては、多くの場合で全く行われないか、あるいは自己防衛として個人に委ねられているのが現状です。ここで、新たなリスクが生まれます。十分に守られていない個人のシステムは、企業のネットワークにアクセスするための入り口として悪用される可能性もあります。

刑事上の詐欺はパンデミックによる規制に便乗する

「グランドチャイルド・トリック(オレオレ詐欺のような、高齢者を狙った詐欺)」は、すでに現在のバリエーションも判明しています。大半は高齢者がもっともらしい口実で騙され、お金や貴重品を見知らぬ人間に渡してしまうというものです。現在のコロナ版では、「緊急事態」と称して行政機関や企業、親類の代理を装って連絡を取ってくるというのが手口で、多くのケースでは接触がないままお金が送金されます。

自らに危険が及ぶ可能性があっても、犯罪者は活動をやめようとは思いません。それを示す例として、オーストリア西部で見知らぬ人間が市や非営利団体の人間を装い、寄付を募ったり、コロナ検査と称して集合住宅に入り込むことがありました。犯罪者は新たな状況に迅速に適応したと、欧州刑事警察機構(ユーロポール)は述べています。ユーロポールによると、詐欺やサイバー犯罪、窃盗、偽造の件数が増えているとのことです。

オンライントレード、物流、サイバー詐欺は外出規制によって利益を得ている
オンライントレードや物流業界は、従来の購買慣習が制限されていることで恩恵を受けています。ユーロポールの報告によると、オンラインプラットフォームの需要によって偽の店舗や虚偽の記事も増えてきているそうです。特に影響を受けているのは防護マスクや消毒剤ですが、薬剤や治療薬も、不誠実な謳い文句や詐欺未遂の対象となることがよくあります。現在、当局は未配送や未払い、ニセ商品または欠陥商品など、あらゆる種類の事案に対応しています。

予防: 関心を高め、知識を共有する

デジタル通信は比較的容易に捏造できます。メールだけではなく、SMSやWhatsApp、SNSでのメッセージも十分に吟味しなければなりません。僅かな疑いであっても、疑惑が生じた場合には注意しましょう。最新のお店や、これまでになく心をそそるオファーを試したい気持ちがあっても、今はその誘惑に負けてはいけません。話がうますぎるものは多くの場合、詐欺だからです。

ステイホーム中であっても、まだ経験の浅いユーザーと力を合わせて積極的に危険やリスクに対処したり、オンラインで警告を共有したりしましょう。詐欺を食い止めるうえで役に立つのは、団結や相互支援、意識改革です。